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韓国「日本企業の資産差し押さえ」 有効な対抗策とは

韓国・ソウルで日本企業に賠償を求める韓国の市民たち(時事通信フォト、2月14日撮影)

 元徴用工への支払いを日本企業に命じた判決に、自衛隊機への火器管制レーダー照射、韓国国会議長が繰り返した“天皇謝罪”要求と、このところ韓国の対日強硬姿勢はエスカレートしている。特に元徴用工の補償問題では、すでに韓国の裁判所が新日鉄住金、三菱重工業の資産差し押さえを認める判決を下し、原告側に差し押さえられている。この3月26日には、日本の機械メーカー・不二越を相手取った訴訟で、韓国地裁は判決を出す前から賠償金確保のため資産の差し押さえを認めている。

 今後、差し押さえられた資産の売却手続きが始まれば、日本企業はいよいよ実害を被る事態となり、企業に韓国側の賠償命令に応じないよう要求してきた日本政府としては、何らかのアクションを取らざるを得ないだろう。

 自民党は1月11日の外交部会・外交調査会で、日本企業に賠償命令を下した判決への対抗措置として、韓国への「フッ化水素輸出禁止」を検討したと伝えられている。半導体製造に不可欠なフッ化水素は、日本企業が市場をほぼ独占しているからだ。

 さらに麻生太郎財務相は3月12日の衆院財務金融委員会で、「関税に限らず、送金の停止、ビザの発給停止とかいろんな報復措置があろうかと思う」と、韓国への報復措置を具体的に言及しながら、検討中であると述べた。

 それ以外にも、メディアやネット上では、さまざまな報復措置が例示・提案されている。しかし、こうした報復措置は韓国に一定の打撃を与えるかもしれないが、日本に対してさらに再報復に出ることは十分に考えられる。効果があったとしても、それを上回るほど“副作用”が大きければ、その案は避けたほうがいいということだ。

 では、今考えられている報復措置にはどんなものがあり、それぞれ「効果」と「副作用」はどの程度なのか。現在取り沙汰されている制裁案のうち、経済、貿易の分野について元内閣参事官で嘉悦大学教授の高橋洋一氏に解説してもらった。

●「フッ化水素輸出禁止」の巻き添えになる日本企業

 半導体製造には純度の高いフッ化水素が必要とされ、森田化学工業やステラケミファなどの日本企業が世界シェアの約8割を握っている。韓国を代表するサムスン電子やSKハイニックスなど半導体企業は、これら日本企業からの輸入に依存し、容易に代替がきかない。

 フッ化水素は核開発でも必要とされるため、外為法で戦略物資に指定され、輸出には経産省の許可が必要である。だから、政府が輸出を規制することは可能だ。

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