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韓国「日本企業の資産差し押さえ」 有効な対抗策とは

「もし輸出が禁止されれば、韓国経済は大打撃を被るでしょう。しかし、同時に韓国へフッ化水素を輸出している森田化学などの日本企業は売上げが激減して窮地に陥ります。損失補填をすればいいと言うかもしれませんが、もしサムスンが失速すれば、素材や部品、製造機器などを納入している日本企業も巻き添えになり、どこまで補填するのかという話になります。

 この報復案には大義名分がないのも問題です。相手が北朝鮮のように核開発をしている国なら戦略物資の規制は簡単ですが、現在の日韓間の軋轢のようなケースは外為法では想定されていないのです」(高橋洋一教授、以下同)

 巻き添えになる日本企業が多すぎるし、そもそもサムスン電子やSKハイニックスといった特定の企業にこの問題の責任があるわけでもないのだ。

●「韓国製品の関税アップ」は報復合戦に

 日本に輸入される韓国製品の関税をアップするという報復案も出ている。これも少し考えればわかることだが、日本が関税アップすれば、韓国側も報復で日本製品の関税をアップさせるのは確実だ。

 ジェトロ(日本貿易振興機構)の統計によると、2018年の韓国の対日輸出額は305億ドル、対日輸入額は546億ドルで、対日貿易は大幅な赤字である。韓国は輸出大国だが、日本から素材や部品を輸入し、加工して中国やアメリカなどに輸出するという構造になっている。どんな製品の関税を上げるかにもよるが、基本的に日本から見れば韓国は“お得意様”であり、互いに関税をアップさせたら、日本のほうが痛手が大きい。

 しかも、関税を上げるというのは、意外に難しいという。

「日本も韓国もWTOに加盟しているので、現行制度で関税を上げるには、特定の韓国製品の輸入が急増しているという状況でセーフガードを発動するという形になります。しかし、そうした実態はありません。それ以外で関税を上げるとなると、新規に立法が必要になりますが、WTOのルールに抵触する可能性が高い」

 WTOのルールに違反しているとなれば、日本は加盟国から制裁を受けることになり、ダメージはさらに広がる。やめたほうがいい報復措置と言える。

●「韓国への送金停止」をすれば大混乱に

 送金停止というのは、たとえば、日本国内にある韓国企業の支社が本国へ送金するのを禁止するということ。

「これをやれば韓国経済は大混乱に陥ります。しかし、考えてみればわかりますが、韓国内には日本企業の支社も多数あり、日本から送金できなくなれば、企業活動に重大な支障が出ることになります」

 日本企業は送金OKで、韓国企業はNGといった対応をするのは現実的に難しいので、全面的にストップするしかないという。

 東京商工リサーチの調査によると、韓国に進出している日系企業は393社(2017年)。仕事や留学などで韓国にいる在留邦人は、約4万人。こうした企業や邦人も巻き添えになり、日本側も混乱を来たすことになる。

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