芸能

風間俊介主演ドラマ『おしい刑事』がとにかく「惜しい」ワケ

風間俊介が主演『おしい刑事』(公式HPより)

“ジャニーズの異端児”と呼ばれる風間俊介の主演ドラマがいろんな意味で「惜しい」と話題を集めている。NHK BSプレミアム『おしい刑事』では、「惜しい」押井敬史という刑事を好演。その見どころについてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 歌って踊れるアイドルとは違う路線で活躍しているジャニーズタレントといえば、生田斗真と風間俊介。生田は大河ドラマ『いだてん』の痛快男子・三島弥彦役で短距離を疾走したり、ふんどし姿になったりと奮闘を見せた。一方、風間は現在、NHK BSプレミアム『おしい刑事』に主演している。
 
 風間が演じるのは、観察力・推理力抜群だが、なぜか肝心のところでミスして、犯人を間違ってしまう刑事・押井敬史だ。先日は、韓国料理店の料理長が殺された事件を捜査。店でアルバイトしていたアジア系留学生女子四人全員から話を聞くうちに、押井は、かわいいメイファちゃん(久保田紗友)に一目ぼれ。「あんなかわいい子に人が殺せるか」と私見丸出しで捜査したのに、結局、「あなたが犯人だ!」と彼女を犯人だと間違ってしまった。あらら。

『家政夫のミタゾノ』と並ぶ名前まんまのダジャレタイトルといい、堂々とした間違いっぷりといい、疑いなく押井は、これまでテレビに数多く登場してきた「変人探偵」のひとりである。だが、どこかが違う。単純に「変人探偵」と割り切れない気がするのである。

 それは押井のキャラにどこか微妙な「すべり感」があるからだろう。押井は、名探偵お約束のインバネスコートに身を包み、関係者を集めた中でいちいち「犯人はこの中にいる!!」など大仰に言い放った上で間違いをしでかす。おまけに若い女性と目を合わせて話せない超奥手男なのに事件関係の美女に惚れっぽく、当人の前では挙動不審に。おかげで8か国語を話すお嬢様刑事(石川恋)からは「変態」と呼ばれ、後輩のチャラい刑事(犬飼貴丈)からは「童貞」と断定されているのである。間違えては大泣き、振られては大泣きする。観てるこっちは「お子様か」と笑うしかないのだが、ケラケラと笑い飛ばすには、「バッキバキに心折れちゃって」という押井は、もうひとつ振り切れていない印象もある。
 
 思えば、われわれは近年だけでも、驚異的な知力を持ち、趣味で犯罪を暴く『IQ246~華麗なる事件簿~』の織田裕二や、自分を白鳥の生まれ変わりと信じ、何かとバレエのポーズを決めて事件を解決する『刑事バレリーノ』の中島裕翔、男性アイドルグルーブに潜入し、キラキラ衣装で歌い踊る『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』の中村蒼など、振り切れた変人探偵を見てきた。驚異的な嗅覚で犯人の匂いをかぐ『スニッファー 嗅覚捜査官』では、阿部寛が特殊器具で鼻の栓をはずす場面までじーっと見つめてきたのである。もはや、多少の変人では驚きゃしない。

 そこにあえて出てきた『おしい刑事』。いや待て、実はこのズレてる感じも視聴者に「惜しい」と感じさせる作戦なのではないか? だとすれば、これは二重の意味での惜しい刑事? どうやら押井には過去に重たすぎる「惜しい事件」があったらしい。その事件の真相も気になるし、韓国語と日本語の小さな違いから犯人を割り出すなど、謎解きドラマとしての面白さにももっと注目が集まっていい。この点も惜しい!

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン