ビジネス

サッポロビール社長語る、大勝ち狙わず若者に支持される経営

サッポロビールの高島英也社長

 大手4社が鎬を削るビール業界。発泡酒、第3のビールを含んだ総合シェアでは4位ながら、「黒ラベル」や「ヱビスビール」などの強力ブランドを擁して、ビールで存在感を見せているのがサッポロビールだ。高島英也社長(59。高ははしごだか)は4社の中で唯一の製造部門出身トップ。商品への愛着や造詣も造り手出身ならではの深さで知られる。ジャーナリストの河野圭祐氏が、高島氏にサッポロビールのものづくり精神を訊いた。

◆”アウェイ”での奮闘

──令和の時代がスタートしましたが、平成元年(1989年)には何をしていましたか?

高島:私は1982年にサッポロビールに入社しました。それから6年半は宮城県の仙台工場でビール造りの基本をその精神から叩き込まれ、1988年秋に大阪工場(大阪府茨木市)に転勤しました。平成元年(1989年)は新天地に移ったばかりですね。夢中で仕事に取り組んでいました。

──当時はアサヒビールの「スーパードライ」が市場を席巻していました。アサヒの本拠地・大阪では特に大変だったのでは?

高島:当社の大阪工場は1961年から操業していましたが、工場周辺の飲食店でさえ、サッポロビールを使ってくださっているところは少なかった。「大丈夫だろうか」と不安な思いはありましたが、それでも工場では皆、自分たちが造るビールに誇りを持っていた。先輩方の姿を見て「もっと自信を持っていかなければ」と思っていました。

 1992年に転勤で大阪を一度離れますが、1997年に大阪工場に戻り、製造部長を務めました(2001年まで)。製造部長時代に取り組んだのは、営業担当者に同行して、納入先の店舗で樽生ビールの味や泡の品質を確認することです。

 それまでは、製造の人間が外回りをすることはありませんでした。醸造製造部門の人間は、工場で高品質なビールを造ることが使命ですが、「飲んで頂くお客様が製造品質以外で喜ぶものは何か」という視点も大事です。大阪時代に実践した現場第一主義は、今も忘れないようにしています。

 大阪工場は2008年3月末をもって閉鎖となりましたが、本当に残念で悔しかったですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン