自殺幇助に使われた薬

 その約1か月後、私は新潟にある病院へ小島さんを訪ねた。彼女は「私は死ぬことを自分の運命として操作したい。私の死生観は西洋的だと思う」と言った。欧米人は、自分の死に方を自分で決めるのは人権の一つと考える。その考え方に惹かれるという。

 すでに話し方がゆっくりになって滑舌が悪くなる構音障害という症状が出ていたが、非常に知的な女性で、強い意志をもっていることが感じられた。

◆「今しかできないんだよ」

 新潟出身の小島さんは韓国の大学に留学して韓国語を身につけたあと、翻訳と通訳の仕事をして東京に約30年間暮らしていた。

 欧米では安楽死を選ぶのは天涯孤独の人が多い。自分を看取る夫や妻も、行く末を見届けたい子もいないという人、あるいは複雑な家族関係にある人々である。

 しかし、小島さんは独身だったが、その傍らには長姉の恵子さんと次姉の貞子さんがいて、3人の会話や温かい視線から、彼女が十分に労られていることが感じられた。小島さんは医師から多系統萎縮症の告知を受けたあと、東京の住まいを引き払い、恵子さん夫婦の家で暮らしている。

 私が初めて会う前、小島さんは自殺未遂を繰り返していたという。

 2018年3月末に長姉の恵子さんが部屋を掃除していると、スカーフを編み上げて強度を高めた縄状のものを布団の下から発見した。問い詰めても「なんでもない」の一点張り。次姉の貞子さんを呼んで3人で話し合うと、小島さんは本心を明かし、「今しかないんだよ。今しかできないんだよ。もう私には力がないんだよ」と泣きじゃくり、「自分でやるから」と何度も訴えたという。その際に、姉妹の間で「安楽死という方法もある」という話題が持ち上がった。

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