そのAさんが選ぶのは、主に「ツアー旅行」だ。

「あっちに行きたい、これが見たいって意見が分かれると、結果どちらかが折れないといけないわけで、知らず知らずのうちに不満がたまってしまう。

 私は戦国時代の遺構や城が好きですが、妻はそんなものには一切興味ない。妻が大好きな花や植物は、僕には全部同じに見える。ツアーなら、行き先はどこも有名観光地でバランスも取れていますし、どこに行くかで揉めることもない」

◆実家への帰省は単身で

 子供がいるうちは、盆や正月に家族揃ってお互いの実家に帰省するのがイベントだった。だが子供が就職や結婚で家を出たとなれば、事情が違ってくる。元教師のBさん(63)は、ここ数年、単身で実家に帰っている。

「妻は、子供が小さい頃はニコニコ帰省に付き合っていたけど、本当は苦痛だったみたいです。

 それに親が歳を取ってくると、話題も病気や介護の話ばかりですからね。あとは、やれ葬式はどうするとか、墓はどうだとか、相続だとか。妻と一緒に帰省したら、踏み込んだ話もできないからかえってちょうどいい」

※週刊ポスト2019年6月21日号

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