老人性難聴の場合、すべての音が均等に聞こえにくくなるわけではない。特に“高い音が聞こえにくくなる”のが大きな特徴で、それが原因で家族内トラブルを招くこともある。
「男性の声より女性の声のほうが聞こえにくくなるので、たとえば高齢男性が息子夫婦と同居している場合、息子の言うことは聞こえても、息子の妻の声は聞こえにくくなるわけです。何度も聞き返すのは申し訳ないから、つい生返事をして分かったようなフリをしていると、嫁としては『実の息子の言うことは聞くのに、なんで私だけ……』という思いを抱くことになる。結果的にひとつ屋根の下で関係がギクシャクしてしまうということはよくあります」(前出・吉田氏)
老人性難聴の場合、高い音がある一定の音量を超えると、今度はキンキンと響くように聞こえるのだという。
「たとえば家の隣に保育園や幼稚園がある場合、園児たちが大声ではしゃぐ声が不快に感じられ、『うるさい!』などと文句を言ったりするようになる。こうした言動も、怒りっぽくなったと言われる原因となります」(同前)
※週刊ポスト2019年6月28日号