働く人と「年金+給料」こう変わる

 年金額はいくら得するのか。現在59~62歳(女性は54~60歳)世代を前提に試算したのが図である。

 まず、ねんきん定期便などであなたや共稼ぎの妻が65歳になる前にもらえる予定の特別支給の年金額を確認してほしい。

 次に雇用延長後の月給にあてはめる。例えば、現行の在職老齢年金制度では、年金12万円の人が月給30万円を稼ぐと年金が7万円カットされて月収は35万円だ。だが、在老が廃止されて年金カットがなくなれば全額の42万円がもらえて年収は84万円アップする。

 これが月給40万円、年金12万円になると現行制度では年金は全額カットされるが、在老廃止で年金全額支給となると月収52万円にハネ上がる。年収にすると144万円アップだ。

◆58歳以下の場合は

 この図の試算は、“得する年金”がもらえない現在58歳以下の世代(男性)が「繰り上げ受給」を選択し、65歳になる前に年金受給開始する場合にも適用できる。

 総じていえるのは、在職老齢年金の廃止によって、現状の「働くほど年金を損する」という理不尽な仕組みが、「働くほど得する」に変わることだ。

 本来、当たり前のことではあるが、現在はそんな当たり前の仕組みさえない歪んだ制度になっていることに改めて気づかされる。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

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