「現行の在職老齢年金は70歳を過ぎても会社で働く限り死ぬまで年金減額の対象になる。中小企業の経営者などには総額6000万円以上の厚生年金保険料を国に支払っているにもかかわらず、年金の報酬比例部分は全額カットされて一生もらえないというケースもあるでしょう。
そんな数々の矛盾を含んだ在職老齢年金制度を廃止するのは意味があるが、廃止するとなると、これまで働きながら年金カットされてきた世代と、年金カットなしで働くことができる世代に不公平感が生まれるという新たな問題もある」
その通りだろう。しかし、裏を返すと、矛盾だらけの年金制度の下で老後を生き抜かなければならない国民にとって、制度の矛盾や不公平さまでもチャンスと捉えて、したたかに利用する知恵と工夫が必要なのだ。
※週刊ポスト2019年6月28日号