ライフ

嫌悪していたランニング、作家・松久淳氏がガチでハマるまで

松久淳氏が『走る奴なんて馬鹿だと思ってた』を語る

【著者に訊け】松久淳氏/『走る奴なんて馬鹿だと思ってた』/1300円+税/山と渓谷社

 10代から運動と名の付くものは悉く(ことごとく)拒否する〈完全文化系夜型生活〉を続け、169cm52kgの〈ガリガリ虚弱体質〉をキープ。ところが40歳で禁煙した途端、体重は68kgに増え、自称・中級作家、松久淳氏(50)はあれほど嫌悪したスポーツ、それもマラソンに、齢45にして魅入られていく──。

 そんな遅ればせながらのランライフを綴った『走る奴なんて馬鹿だと思ってた』は、かの『Tarzan』の人気連載発の一冊。〈マラソンは人生だなんて言わないよ絶対〉というby槇原敬之的宣言で始まる26章はしかし、マッチョな精神論や文学的箴言とも一切無縁に展開し、当初は50mも走れなかった作家が5km、10km、20kmと順調に距離を伸ばし、やがて〈依存症〉と呼べるほどハマっていく姿をユーモアと自虐たっぷりに描く。つまり「馬鹿だと思ってた」は、あくまでも過去形?

 2014年の『中級作家入門』を始め、得意の芸風は自虐。かと思えば本格的な恋愛小説や映画評も多数手がける著者の仕事は、愛に始まり、愛に終わる印象がある。

「憧れの女子のスカートを気になるからめくっちゃう“中坊”的にこじらせた感情が、今思えば走る人に対してもあった気がします。ただキャンタマ見えそうな短パンを履いた本気感満載のオッサンや、東京マラソンを完走した直後にプロポーズする人を見ると『ああはなりたくない』って今でも思うし、ランより、それに付随する物語が嫌だったのかな、と。

 それとあれだけ嫌ったものに今更ハマる気恥ずかしさもあった。例えば僕、今は他人が煙草を吸うのも嫌なんですよ。昔は『酒と煙草と女で1つ選ぶなら、オレは断然煙草!』とまで言ってたくせに、人間、変われば変われるもんです(笑い)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン