慢性炎症は、老化にかかわる多くの病気のベースになると考えられている。認知症もその一つ。「アルツハイマー病もきっかけは慢性炎症である」と、弘前大学医学部長で脳神経病理の若林孝一教授は話していた。

 動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞も、慢性炎症によって起こることがわかってきた。糖尿病の人は脳卒中や認知症のリスクが高いが、血糖値が上がることで慢性炎症が進むためと考えられている。

 がんも、きっかけは慢性炎症が関係しているといわれている。久留米大学の川口巧講師は、九州の講演会でご一緒したとき、脂肪肝から肝硬変や肝臓がんに移行する例が増えていると話していた。

 肝臓がんは、B型肝炎やC型肝炎のウィルスを由来とするものだけではない。脂肪肝は、日本に1000万人近くいるというが、この人たちも肝臓がんのリスクが高いのだ。

 川口講師は、肝臓病の運動療法に詳しい。脂肪肝から肝臓がんへと進行させないために、スクワットと10分程度のウォーキングをすすめていた。健康づくりのために、スクワットとかかと落とし、今よりあと10分長いウォーキングをすすめているぼくとしては、とても心強い思いがした。

 また、がん遺伝子があったとしても、遺伝子のスイッチがオンにならなければ、がんにならない。その遺伝子のスイッチをオンにするのも、慢性炎症ではないかという説がある。

 こうしてみると、慢性炎症は多くの病気にかかわっており、慢性炎症を抑えることが健康づくりのキモであることがわかる。老化-慢性炎症-病気という負のスパイラルを断ち切るためにも、ぜひ、運動習慣を身に付けてもらいたい。

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