芸能

闇営業問題におけるコンビ芸人の相方の葛藤を心理士が分析

相方に嘘をつかれた淳の心中は…

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。今回は、闇営業問題におけるロンブー淳の心中をプロファイル。

 * * *
「今回のこと…亮と話しました」

 ロンドンブーツ1号2号・田村淳さんの6月7日のツイッターは、こんな言葉から始まっていた。

 ギャラは一切受け取っていないと、相方の亮さんは淳さんに言ったという。

「皆さんはどう思われるかわかりませんが」と前置きをした上で、淳さんは「僕は亮の言葉を信じたいと思います」と綴っていた。

 長年一緒にやってきた相方の言葉を信じたいという気持ちは、痛いほどわかる。仲の良い友人に、仕事仲間に、パートナーに信じてほしいと言われれば、それが事実かどうかわからなくても、その言葉を信じたい、信じようとなるのではないだろうか。人にはこういう傾向が少なからずあると言われている。それを「真実バイアス」という。

 真実バイアスとは、「他者のメッセージを真実方向に偏って判断する傾向にある」(『嘘の心理学』村井潤一郎編<ナカニシヤ出版>)ということである。つまりメッセージを受け取る側が、それが実際、嘘か本当かという真偽にかかわらず、本当であると判断する傾向のことであり、淳さんの言葉を借りれば、「どう思われるかわからないが亮の言葉を信じたい」ということだろう。

 このバイアスが強くなる背景には、メッセージを送る側の態度も関係しているという。送る側が一貫して正直に見えていたならば、その態度から受ける印象は、メッセージの受け手にとって非常に大きくなるというのだ。

 実際、淳さんは「亮は今まで僕に一切嘘をついたことがないです」と書いている。裏返せば、淳さんは亮さんから常に真実を伝えられていたことになる。ここまで言い切れるのは、彼に対して確固たる信頼があったからだ。

 真実バイアスの実験では、嘘を正しく嘘と見破ることよりも、本当のことを正しく本当だと見抜く方が、正答率が高いという結果がある。淳さんは、これまでずっと彼の真実を正しく見抜けていたのだろう。

 自分と比較することでも、真実バイアスが強くなった可能性もある。「僕は何度も亮に嘘ついた事があるけれど…」という言葉からわかるように、自分と比べて、自分と違って、淳さんにとって亮さんは正直な人間だという印象が強かったのだ。

 だが一方「どう思われるかわからない」と前置きしたこと、「信じる」ではなく「信じたい」という言葉を使ったことから、「もしかして…」という疑念が心のどこかに生じていたことも確かだろう。心の中でかなりの葛藤があったはずだが、真実バイアスから相手を疑うことをためらい、事実がわからないのでとりあえず信じるという心理が働いたのだと思われる。

 吉本興業から亮さんに謹慎処分が出た日、淳さんはツイッターに「嘘をつかれた事が本当にショックでした」と書いている。バイアスが強かっただけに、ショックは半端なく大きかったと想像できる。

「昔の正直者で真っ直ぐなところがなくなったらもう亮じゃない!」とまで亮さんに言ったという淳さんだが、「しっかりと反省した亮とまたコンビの活動を続けられたらと思います」と、今の思いも綴っている。

「誰よりも厳しい目を向けたいと思います」と言う淳さんから、亮さんが信頼を取り戻せるのはいつになるだろう。

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン