「MAZDA3」は現段階ではモータージャーナリスト等の試乗記を見る限り、動力性能的には比較的大人しい印象のものが多いが、マツダが考える“走る歓び”について以前、同社の丸本明社長はこう語っていた。
「ジェットコースターで感じるような急激な加速感やGの変化がもたらす高揚感ではなく、日常の通勤や買い物、家族との遠出といった運転シーンにおいて、まるで長く使い込んだ道具を扱うかのように、自分の意図通りに走り、曲がり、止まる。その手応えを感じずっと運転したくなる。
目にした瞬間に心を奪われ、その場の風景や光によって表情を変えていくクルマをずっと眺めていたくなる、そしてまた乗りたくなる。それがマツダが目指しているものです」
より愛着の湧く、大人のための道具感を強く意識しているということなのだろう。
「飽きのこない空間を大事にしたいので、車内の夜間照明はすべて白で統一していますし、音響装備は社内でも評判の自信作を、グレードに関係なく標準装備しています」(マツダ幹部)
欧州メーカーのクルマのシートに比べて、日本メーカーのそれはウレタンの密度や造り込みが甘く、疲れやすいものも多いと指摘されるが、「MAZDA3」はシートへのこだわりもアピール点だという。
「シートは自然と骨盤が立つ仕様にし、取り付け剛性も高め、シートへの座らせ方も徹底的に考え抜いています」(同)
ちなみに、たとえばドライバーがシートに座った後、シートが自動的に動いてドライバーを包み込むような研究もしているらしい。