今後気になるのは「ロードスター」の扱いをどうするかだ。同車の海外名は「MX-5」だが、発売から30年を経た今も独自の世界観を維持し、熱心な「ロードスター」ファンも多い。
「ああいう車形のクルマを『ロードスター』と言っていますが、『ロードスター』という商標権を取れているのは国内だけ。車形をそのままネーミングに使えるのはマツダにとって財産だと思っていますので、『ロードスター』については今後も現行のまま継続していきたいと思っています」(同)
と語っていることから、このクルマだけは変わらない可能性が高そうだ。
シェアリングやサブスクリプションのうねりなど、クルマも所有から利用へのシフトが一段と進みつつあるが、マツダのスタンスは「当社はグローバルシェアで2%、国内で4%強のシェアですが、だからこそできることがある」(福原氏)と、所有欲を満たすクルマ造りにこだわる。また、訴求層もクルマを単なる移動ツールとは考えない、クルマにこだわりを持つ人たちに照準を定めるなど割り切りがある。
ただ、将来的にもクルマ好きは一定層見込めるものの、世界的に販売ボリュームの大きい米国や中国では苦戦しているマツダだけに、急勾配を描いた販売台数は、そうは見込めない。となると、必然的に、より付加価値路線を強めていくことになる。その第1弾が、新世代商品群のトップバッターになった「MAZDA3」だ。
実際、旧「アクセラ」に比べると、排気量やグレードによって22万円から30万円の価格アップで、10月にも追加投入される予定の「SKYACTIV-X」エンジン搭載車は、35万円ほどのアップになりそうだ。その分、造り込みの精度や先進装備、デザイン力も上がっており、高いと受け止めるか安いと受け止めるかは個人差が大きいが、ここまではおおむね、マツダ側の想定に沿った販売数字になっている。
ちなみに、ファストバック(ルーフからトランク=リアデッキにかけてなだらかに傾斜したデザイン)とセダンの販売比率は前者が7割、後者が3割と想定している。
タイプ別では、「1500ccのガソリン車で10%、2000ccのガソリン車で40%、1800ccのディーゼル車が20%、秋に出るSKYACTIV-Xエンジン搭載車が30%という販売構成比を見込んでいますが、構成比にズレが出ても、フレキシブル生産で対応できる」(マツダのある幹部)とのこと。