発行部数で韓国トップの朝鮮日報は7月3日付の社説(日本語版)で、〈韓国経済が受ける打撃はファーウェイ制裁問題の場合の10倍になると言われている〉とし、連日にわたってこの問題を報じている。韓国人作家の崔碩栄氏は韓国側の反応についてこう語る。
「一般の人たちの最初の反応は、日本が本気で怒ったことに“驚いた”というのが正直なところ。(韓国国内へのTHAADミサイル配備をめぐり韓国企業を中国から締め出し、韓国への旅行を禁じるなどの報復措置をとった)中国と違い、日本から抗議はされても最後は“仲良く未来志向で”などとうやむやになるのが通例でしたから。今は日本に対する怒りと韓国政府の無策に対する怒りが半々といったところです」
実際、韓国紙を眺めても、必ずしも日本批判一色ではなく、「対韓輸出規制:関係悪化招いた韓国大統領府、尻拭いは担当省庁に押し付け」(朝鮮日報日本語版7月2日付)や「韓国党「文大統領、自画自賛する時間に対策を出すべき」」(中央日報日本語版7月3日付)といった文在寅政権の対応への批判を伝える記事も散見される。今後、野党が政権批判の材料に利用していくことは間違いない。
問題は、追い詰められた文政権がどう出るかだ。韓国の康京和外相は6月25日の国会外交統一委員会で、日本政府が元徴用工問題で韓国に制裁措置をとった場合、「我々も黙っているわけにはいかない」と、報復に出ることを明言している。
韓国メディアでは、世界貿易機関(WTO)に「自由貿易に違反する行為」として提訴すべしとの見出しが躍っているが、これは日本にとってダメージになるのか。元内閣参事官で嘉悦大学教授の高橋洋一氏はこういう。
「提訴したらいいと思いますよ。輸出を禁止したわけではなく、優遇をやめて他の国と同じ扱いにするというだけで、これは各国の裁量の範囲内です。韓国への優遇は2004年から始まっていて、それ以前の状態に戻すだけで、違反になるとは考えられません」
アジアの中では韓国だけが優遇されてきて、中国や台湾にも半導体メーカーはあるが優遇措置はないのが実情である。では、韓国が採り得る日本への報復は、WTO提訴以外には何があるのか。