国内

「ホワイト国」除外 それでも韓国に沿う論陣張る新聞という病

外交は互いの敬意あってこそ(Avalon/時事通信フォト)

 言論は多様であってしかるべきだが、誰の目に見ても明らかに重要な外交上の節目において、ここまで国民感情を逆撫でしかねない主張が並ぶのも珍しいのではないか。作家でジャーナリストの門田隆将氏が指摘する。

 * * *
「どうして日本の新聞が韓国の味方をするのでしょうか」

 講演の際、そんな質問を受けることが最近多くなった。日本に在住している韓国の知識人と先日話す機会があったが、その人もこう言っていた。

「日本の新聞はすごいですね。まだ韓国の保守系新聞の方がましです。日本の輸出規制についての批判はしますが、そのあとに必ず文在寅政権批判も展開しているからです。朝鮮日報や中央日報がそうです。先日、文大統領は両紙の日本語版の内容にまで“売国奴的だ”と攻撃してきました。でも朝日や毎日など日本の新聞は、まるで日本が悪いみたいに書いています。驚きです」

 私はこの韓国問題をきっかけに、新聞への国民の関心が高まっていることを感じている。別に新聞の読者が増えているということではない。新聞の中身を検証したり、ウォッチする人が「増えている」という意味である。

 拙著『新聞という病』が発売2か月で8万部となった。反響の大きさに正直、驚いている。お蔭で新聞のウォッチャーとして、毎朝、私自身も新聞を開くのが楽しみになった。

 7月26日付の朝刊紙面には、日本の新聞が持つ病巣が象徴的に表われていた。拙著で特に多くのページ(25ページから54ページ)を割いて指摘した韓国問題に対する新聞の“欺瞞(ぎまん)”である。

 例えば、〈日韓の対立 舌戦より理性の外交を〉と題した朝日新聞の社説を見てみよう。〈他国が集(つど)う会合で、韓国と日本が言い争った。両国に死活的に重要な自由貿易を守るための枠組みでの一幕である。国際社会にどう映ったことか〉と始まるこの社説は、厳しい「日本批判」で貫かれている。

 朝日によれば、半導体材料の措置に加えて、韓国を「ホワイト国」から外す手続きを進めていることは〈韓国だけでなく日本経済の足も引っ張りかねないうえ、日韓関係を正す確たる展開もない〉という。

 その前提に立って、朝日は堂々と〈日本政府は貿易をめぐる一連の措置を取り下げるべきだ〉と主張する。断わっておくが、これは韓国ではなく日本の新聞の社説である。優遇措置対象国から韓国を除外するという方針について経産省がパブリックコメント(意見公募)を求めると、たちまち万単位の意見が国民から寄せられ、「9割以上」が賛成という結果になったのに、朝日はそれを「取り下げよ」と言ってのけるのだ。「韓国の国益」と見事に一致する。社説はこう続く。

〈日韓はいまや、互いを非難しあう連鎖に陥った。なかでも、外交の責任者自らが事態をこじらせるのは実に嘆かわしい〉として、河野太郎外相がメディアの前で駐日韓国大使に対して「きわめて無礼だ」と叱責したことを〈冷静な対話を困難にし、問題の解決を遠ざける〉と糾弾。

 くり返すが、これは韓国の新聞ではない。一応、社説はその後、文在寅大統領が徴用工問題について仲裁委員会の設置に応じなかったことを〈具体的な対応を定めないのは責任放棄である〉と申し訳程度に言及し、最後はこう締め括(くく)られる。〈反感をあおる舌戦や強面(こわもて)の演出ではなく、理性の外交が求められている〉と。

関連記事

トピックス

今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
国仲涼子が語る“46歳の現在地”とは
【朝ドラ『ちゅらさん』から24年】国仲涼子が語る“46歳の現在地”「しわだって、それは増えます」 肩肘張らない考え方ができる転機になった子育てと出会い
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン