四天王最後の砦となったのが石川・星稜の奥川恭伸(やすのぶ)だ。リリーフとしてマウンドに上がった準決勝は、逆転打を許すも、自身の場外に消える本塁打で同点に追いつき、延長10回には勝負を決める2点本塁打を放った。決勝では2失点完投し、投打に層の厚い星稜にあって、林和成監督の言葉を借りるまでもなく、「奥川劇場」を演じてみせた。
優勝候補と目されていた今春のセンバツで奥川は、初戦で履正社(大阪)の強力打線を翻弄する圧巻のピッチング。だが、続く習志野(千葉)戦では、相手のサイン盗み疑惑の動揺もあってか、制球を乱して敗退した。
最後の夏、最速は158キロに達し、先輩の松井秀喜氏も達成できなかった同校初の甲子園制覇を狙う。
「友人たちの思いを背負いながら、戦います」
友人たちには、敗れ去った四天王も含まれるはずだ。4人はいずれもU-18侍ジャパンに選出されることが濃厚。8月30日から韓国で開催されるU-18ワールドカップで、日本にとって悲願の世界一に挑む。
星稜のエースから日本のエースへ。その時、奥川は「甲子園優勝投手」の勲章を手にしているかもしれない。
※週刊ポスト2019年8月16・23日号