イトマン事件を巡り、1991年7月に特別背任容疑で逮捕された許氏は、1993年12月、6億円の保釈金を払って保釈される。1997年9月27日、妻の実家の法要を理由に韓国に入国。宿泊先のホテルで倒れ、市内大学病院に入院するが、10月7日、病院から姿を消した。

 1999年11月5日に都内ホテルで身柄を拘束されるまでの2年間は、北朝鮮逃亡説から暴力団による拘束説まで数々の情報がメディアで報じられながら、いまだその間の行動は詳らかになっていない〉

“かくれんぼ”の理由を端的に説明すれば、刑の執行や刑罰を免れるためではなく、「暴力団抗争に巻き込まれ、命の危険性があった」からです。

 保釈中の私を狙っていたのは、関西のある在日の男でした。殺意の突端は、男の嫉妬としかいいようがない。事業でぶつかり、女性関係でもあらぬ疑いをかけてきたこの男は、京都のある極道組織に話を持って行った。その組は超武闘派で知られ、ある有名組長を射殺したことで名が知られていた。在日同士の怨念の中で、私は命を狙われることになったのです。

〈そして許氏は身を隠すことを決意する。1997年10月7日、病院を抜けた許氏が向かった先は、ソウル市内の金浦空港だった〉

 堂々と、自分のパスポートで飛行機に乗り、日本に入国しました。行き先は福岡。チケットは事前に協力者に用意してもらった。日本に帰国した理由は、信頼できる仲間の多くが日本にいたからです。その後は国内線で羽田へと飛び、以降、東京を拠点に、全国各地を放浪するかくれんぼが始まりました。

〈この間、日本各地の温泉宿やホテルを転々としていたという許氏。滞在先は入念に選別した〉

 地下の駐車場から直接上がれる構造のホテルを選んでいました。運動不足の解消に、ホテルのプールではよく泳いだものです。帽子をかぶってゴーグルをつけていると、意外と気づかれない。地方の温泉場ならば、1か所に3~4日間ほど滞在して次の街へと移動していく。ただ、利用者が多い大箱の温泉は行かなかった。知っている連中と出会うかもしれませんから。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン