そこまでお膳立てが整えば、安倍首相にとって憲法改正の「最後の障害」となっている9条改正に慎重な公明党が要らなくなる。
「こちらも公明党に対して、“どうしても改正案に賛成できないなら連立を出ていってもらっても結構”と強く踏み絵を迫ることができる」(自民幹部)
公明党がどう転んでも、安倍首相は来年の通常国会で改憲大連立を組んで憲法改正を発議し、東京五輪・パラリンピック閉会後に国民投票を実施する「第2のシナリオ」が発動される。
それを花道に安倍首相は「歴代最長の総理」と「憲法改正を為し遂げた総理」という2つのレガシーを残して退陣を迎えられるのだ。だが、宴の後の自民党は巨大な“抜け殻”だ。
「ポスト安倍で誰が総理になっても、次の政権は五輪後の景気後退、年金をはじめ社会保障の不安、高齢化の進展など安倍政権が手をつけなかった課題が深刻化し、アベノミクスの後始末を迫られる。もし、ポスト安倍政権で不景気や生活苦で国民の批判が高まれば、国会でどれだけ巨大な勢力を持っていようと安心はできない。小選挙区制では国民の支持が離れれば1回の選挙で政権がひっくり返る。小泉政権の後の自民党と同じ道を辿る危険があります」(政治評論家の有馬晴海氏)