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ヤクザに原点回帰の動き 地域に根差した「町の顔役」目指すか

任侠山口組の織田絆誠組長

 六代目山口組から神戸山口組が分裂して4年、その間に神戸山口組から任侠山口組が再分裂し、いまや3つの山口組が並存している。日本最大の暴力団、山口組の分裂は、ヤクザ社会にどのような変化をもたらしたのか。溝口敦氏(ジャーナリスト)と鈴木智彦氏(フリーライター)のヤクザ取材エキスパート2人が読み解く。

溝口:山口組が分裂したことによって、京都の会津小鉄会や関東の松葉会のように他団体も分裂してしまいましたよね。

鈴木:いずれももともと後見に六代目山口組を置いていて、その威光が崩れたことでガタガタして分裂してしまったわけですよね。

溝口:山口組が弱体化していくということは、ヤクザ全体が地盤沈下していくということです。

 そんななか少し可能性を感じるのが、地域に根ざしたヤクザへの原点回帰です。昔はヤクザの親分が町の顔役になっていて、町の揉め事を解決したり、文句を言うヤツを黙らせたりしていたわけで、そういう生き方をもう一度模索しているヤクザが出てきている。任侠山口組の織田絆誠組長は大阪の島之内、稲川会碑文谷一家総長の熊谷正敏なんかは、東京の大井町周辺といった地域に根ざそうとしている。

鈴木:熊谷総長は、昔は町内会の会議に出たりもしてたそうですよね。

溝口:そうそう。地域の顔役という、山口組以前のヤクザへの回帰だね。

鈴木:もともとは地域の顔役だったのが、だんだん大きくなって、全国にネットワークをもつ広域暴力団にまで成長したが、このサイズ感に無理が出てきたから、また元の小さなサイズに戻ろうということですね。神戸山口組も、「神戸」と冠しているように、山口組の原点である神戸に回帰しようとしている。

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