指切りに本当に意味を持つのは、大人の男女間だけで、もっと言えば見え透いたうそをついている男に女が迫るものだ。明らかに泳いでいる男の目をひたと見つめて、小指をからませながら、「嘘ついたら、針千本の~ます」。
わかっているのよね。貸した金は戻ってこないし、別れるはずの妻とは何年たっても離婚しないのは。
私のつきあった男にも生い立ちから就職先、離婚歴までうそで固めた男がいた。本当のところ、針千本のませたくらいでは収まらないけど、うそに乗った自分がかわいくて、信じたふりをしていた。
そういう男も還暦を過ぎてみると、「弱虫」のひと言で片づくんだけどね。
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号