原作者の本橋信宏氏

 脚本も演出も素晴らしいと思いましたよ。ドラマは原作に脚色を加えたものですが、それでも「お金がないときは焼肉屋で豚足しか食べられなかった」という小さなエピソードを拾い、物語のラストに繋げるなど、微に入り細を穿って丁寧に作られていると思います。

 この作品にはモザイクやぼかしが入りません。ヘアが映っているシーンもあります。内容も今の時代とリンクしています。昨今は自主規則やコンプライアンスにガチガチに縛られていて閉塞感があります。そこに会議も稟議書もなしに、白いブリーフ一丁で好き勝手に動き回る男の物語を見たら、爽快感を得ますよ。この作品は地上波で流せない内容を扱っていますが、その先にある絶対的な面白さを追求しているんです。

 感銘を受けたことがあります。今年3月のピエール瀧の薬物事件でした。逮捕後、彼の出演したテレビ番組の放送自粛が相次ぎました。本作の出演クレジットにも名前があったので、あまりに異様な自粛の流れに抗して、このまま出すべきだと伝えたところ、平然と「ウチはこのまま公開します」と即答されました。大手資本のしがらみがないからか、毅然としたその姿勢に感心しました。

 8月に配信されてから、有名人が観たことを公言したり、世界中から『全裸監督』を観た、という声が押し寄せています。みんなで集まって鑑賞することが流行ってるんですね。今までの私の著書ではなかった反響をもらいました。

 一方でシーズン1では、村西とおるという男がキレイに描かれすぎているという批判もありました。この批判に対する答えは今年中に撮影に入るシーズン2を観ていただければわかるでしょう。

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