好調なスタートをきった

 桑野役をこなしたことによって大きく開けた役者人生。その後の映画『テルマエ・ロマエ』(2012年)では、あのおとぼけ古代ローマ帝国の浴場設計技師で、まさに三の線の円熟ぶりを見せつけました。それに、日本人で「ローマ人」役にどんぴしゃハマる人って阿部さんしか考えられない、そう思わせてしまうほど、身長と彫りの深さという二枚目モデル姿を武器として活用した大技でした。

 さて、「二枚目から見事に脱皮した役者」ということでいえば、最近のドラマであの人のことも忘れてはいけません。NHK朝ドラ『なつぞら』で大黒柱のように全体を支えた草刈正雄さん。登場するだけで人間の深みというものを伝える力には、もう脱帽です。

 草刈さんもまた、資生堂専属モデルから出発し、「二枚目」として人気を極め、その後脇役しか来ない不遇の時代を経験しました。ご本人も「二枚目」というイメージを崩したいともがき苦しみ続けてきた、とインタビューで語っています。さらに息子を亡くすという不幸も経験し、人生の酸いも甘いも知った後、いぶし銀のような風貌と円熟味の役者にまで到達したのでしょう。

 モデル出身と言えば、竹野内豊さんも期待したい役者の一人です。ドラマ『この声をきみに』(NHK 2017年)では「二の線」ではなく、まったくイケていないダサイ格好の頑固な中年男性を演じた竹野内さん。次第に柔らかな心を獲得していく変化のプロセスが印象的で、深い声の響きも素晴らしく、感動させてくれました。

 そこで……どうしたって注目しなければならない今期のドラマ最大の「二枚目」がいます。

 キムタクです。10月20日放送開始のドラマ『グランメゾン東京』(TBS系日曜午後9時)では型破りなシェフを演じるという木村さん。依然「二の線」を走る俺様アイドルのままなのか、それとも路線から降り役者として大きな可能性を手にいれるのか。本人の意思とは関係なく、どうやっても「二の線」から下ろしてもらえないのか。かたずを飲んで見守る、といったところでしょうか。

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