動物愛護センターでの殺処分はなくなったが、殺処分自体がなくなったわけではないと、原さんは言う。
「収容頭数が増加したり、状況の変化があれば殺処分は復活しますよ。ほかの保健所などでは今も殺処分しているわけですし。そうさせないためにも、私たちボランティアが引き出してケアし、譲渡会などで新しい飼い主を見つける…という活動が不可欠なんです。保護期限が過ぎてガス室へ送られることはなくなりましたが、飼育放棄、ネグレクトは今も続いているのですから」
最近は、ブリーダーによる多頭放棄やペットショップによるネグレクトなども問題になっている。元凶はそこでは…と問うと、「それは違います」と真顔になった。
「いえ、ないとは言いませんが、元凶はそこじゃない。私たちボランティアが不要にならないのは、飼えなくなったら捨て、きちんとケアをせずに病気になったら見殺しにする飼い主が存在するからです」
本当はこんな活動、辞めたいんですよ…と原さんはため息をついた。
「ペットショップの子犬・子猫を買って、最期まで大事にしてあげるのももちろんいいんです。でももし、里親になってもいいなと思われるなら、ぜひ、成犬と残りの数年を過ごすことを考えてもらえるとうれしいです。そして看取ってやってほしい。シニア犬は穏やかな子が多いです。小さなお子さんのいる家庭では、見守り犬にもなってくれます」
※女性セブン2019年10月31日号