そう、31才の、つまり「等身大」の戸田さんが画面に引っ張り出されているのでした。せっかく信楽編で15才の子供を必死に演じていたのに。あっさり「等身大」に戻ってしまったのは、他でもありません。脚本と演出のせいであって役者のせいではない。
このシーンに限らず、大阪に来てからの喜美子はやたらに「人なれ」しています。例えば下着のモデルをするという話や、新聞記者のちや子(水野美紀)と事件を巡って世間話をするシーン。
これってどうひいき目に見ても、子役設定ではなく大人の女性でしょう。セリフや演出にキャラクターの統一性が足りなくて、綻びや雑な部分が感じられるのです。
けれど……役者さんの力に期待しているだけに、どうか杞憂に終わってほしい。そう、物語は始まったばかり。このドラマのモデルになっているのは女性陶芸家の草分け・神山清子。陶芸の苦労だけでなく夫ともめたり息子が病気になったり、骨髄バンク作りに奔走したりという苦労人だけに波瀾万丈の筋立てが待っているはず。きっと退屈しないはず。
戸田さん、大島さん、林さん、と役者たちの力量は期待大です。中條アナのナレーションも、主題歌Superflyの「フレア」もピタってとはまっていて素晴らしい。彼らの才能を殺さずに活かして欲しい……と祈るような気持ちで『スカーレット』を応援しています。