日頃、目につかなかった人間性が露わになることもある。先週のこと(10月15日)だ。地下鉄・霞ケ関駅のホームを歩いていた時、とんでもない言葉が耳に飛び込んできた。
「水害の被災地にボランティアに行く人の気が知れないよ。想像しただけで不潔じゃないか」
振り返って見れば40代初頭の大柄なサラリーマンで、肩を並べて歩くのは同僚か部下か。
「それはちょっと…」と、連れが止めると、「だって実際そうだろよ」とひときわ声を張り上げた。怒りで体を震わせたのはいつ以来だろう。とって返してブン殴ってやろうか。そう思っているうちに、ヤツは人混みに見えなくなった。
台風19号の翌日、氾濫した東京・多摩川の上流をヘリコプターが何機も飛んで、耳をつんざく爆音を轟かせていた。自衛隊やNHKの報道ならともかく、民放のワイドショーが混乱冷めやらぬ現場上空を物見遊山でバタつくのはやめてほしい、とその地域に住む知人が怒ってた。メイクをしっかりして新品の長靴をはいた女子アナや、見舞いの言葉ひとつかけられない浅薄なアイドルあがりの自称キャスターたちが、眉根を寄せながらも、無神経に現場を踏み荒らす姿を見ると無性に腹が立ち、脱力感を覚えるのだという。
…ホントだね。
※女性セブン2019年11月7・14日号