「ところが、今こそ組合の垣根を超えて話し合おうと主張したある分会書記長がそれを〈組織破壊行為〉と見なされ除名され、不慮の死を遂げたり、真っ当な人ほどパージされるんです。JR北は2006年にも非JR北海道労組員への〈「異常」な人事〉に関して不当労働行為認定を受けているし、松崎イズムを踏襲した佐々木体制や異常な労使癒着の先に、レール検査結果の改竄やATSの破壊、2人の社長の死もあったように思う」
◆組合脱退者の権利を守れるのは誰か
そもそも西岡氏がJRの労組問題を追い始めた動機は「面白半分」だったとか。
「『週刊文春』記者時代、当時存命だった松崎氏(2010年没)がハワイにコンドミニアムを2軒も持ってるいう話を聞き、は? 反帝反スタ掲げる革マルの頭目がハワイかい、おもろいやんけ、というのが発端。しかも警視庁公安部が近々その件で松崎氏を挙げるという情報もあり、これは面白半分どころか、面白全部やないかいって(笑い)。
ただいざ取材を始めると、組合員イジメとか粛清とか、おもろない話ばっかり出てくるんですよ。安全なんか二の次の組合も、その組合と結託して保身に走る経営側も、闇と呼ぶのも悲しいくらいお粗末で腹立つし。そんなえげつない話を知ってしまった以上、不正義に目を瞑ってネタだけ書いてたらあかんと思った」
そのうんざり感が先般の大量脱退に繋がったとして、彼らの多くは他に移るでもなく、今も無所属のままだ。