ライフ

【著者に訊け】西岡研介氏 JR北海道の闇に迫る『トラジャ』

西岡研介氏が『トラジャ』を語る

【著者に訊け】西岡研介氏/ 『トラジャ JR「革マル」三〇年の呪縛、労組の終焉』/2400円+税/東洋経済新報社

 人の命より組織の論理、乗客の安全よりも労使間のメンツや力学が優先された本末転倒この上ない闘争と、その〈終焉〉は、果たして何を意味するのだろう?

 JR東日本労組初代委員長・松崎明や非公然組織・革マル派による専横の実態を暴き、講談社ノンフィクション賞を受賞した一方、数々の訴訟にも見舞われた『マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』から早12年。西岡研介著『トラジャ JR「革マル」三〇年の呪縛、労組の終焉』は、先頃JR東労組で発生した3万5000人に及ぶ大量脱退劇や、2011年と2014年に社長経験者が2人も自死したJR北海道の闇についても数々の新証言で迫った労作だ。

 ちなみにトラジャとは、国鉄出身で革マル派党中央に送り込まれた精鋭を意味し、これがマングローブと呼ばれる各JR内の秘密構成員約150名を指揮して、松崎が唱える〈積極攻撃型組織防衛論〉を内側から実現していったという。

 その一々大仰なネーミング自体、時代錯誤な印象を拭えないが、今や若年層の〈組合アレルギー〉は看過できない段階にあるといい、「JRの闇は深い、で終わってたらアカンのです」と西岡氏は言う。

「元々前作を書いた時から、JR北海道のことも取材はしてたんです。でも結局は連載も本も東中心になってしまい、北の人に悪いことしたな、いつか書かなあかんと思っていたら、労政改革の旗頭だった中島尚俊社長が2011年に突然自殺してしまって。

 その3年後、今度は坂本眞一相談役まで亡くなった。2016年頃に僕が他の仕事を全部片付けて北海道に飛んだところ、今度は2年後に東労組の大量脱退が起きた。この一連の流れの中で、北のことも12年越しに本にできたといえます」

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン