サントリービールの山田賢治社長

──1994年からはビール事業部で販売戦略の立案に携わります。

山田:事業部では、それまでの営業とは違う様々な知識が必要になります。知らないことが多すぎて、つらい日々でした。会議でも全然発言できず、企画もまるで通らない。最初の1年間で12kgも痩せました。

 それでもサントリーには「やってみなはれ」の社風があることを肌で感じました。

 営業ターゲットとなる料飲店を絞り込む「テレホンマーケティング」という施策を提案すると、まだ何の実績もない私に当時の上司が約3000万円の予算をポンと出してくれたんです。きっと私が営業の最前線と密にコミュニケーションを取って、現場からの要望を細かく吸い上げていることを評価してくれたのだと思います。

 上司からの指示を待つのではなく、会社に対してそれぞれの社員が提言していく、それこそが「サントリーらしさ」だと実感しましたね。

◆「泡」こそビールの魅力

──それから30年、サントリービールは、順調にシェアを伸ばし、昨年は16%となりました。

山田:牽引役は「ザ・プレミアム・モルツ」(以下「プレモル」。2003年~)と「金麦」(第3のビール。2007年~)です。サントリービールの商品は100%天然水仕込みであることを他社との差別化ポイントとしています。

 サントリーグループを横断して、「水と生きる」というスローガンを掲げていますが、その天然水を生み出す森を守り、育てる活動も長年続けています。そこに最もシナジー(相乗効果)があるのがビール事業であると思います。

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