暴力団の抗争は無軌道に見えて、一定のルールの中で行なわれている。家族は襲わず、企業舎弟も殺さず、不良外国人に殺害の依頼もしない。小中学校の近くや、登下校の時間に襲撃すれば、世論はその暴力を許さない。抗争事件は国家権力がなんとか黙認するだろうギリギリを狙ってくるはずだ。
限度を読み間違えば、山口組のみならず、暴力団は一気に破滅の道を突き進む。暴力団の非合法化法案が国会に提出されれば、全会一致で可決されるだろう。その時は山口組のみならず、暴力団が終焉を迎える。
激化する山口組分裂抗争は黙示録のラッパになりかねない。
●文/鈴木智彦(フリーライター)
※週刊ポスト2019年12月20・27日号