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「偏向図書」を燃やした中国の公立図書館 現代の焚書と批判

思想弾圧に批判が殺到

 中国西部・甘粛省慶陽市の公立図書館で「思想的に偏向しており、中国共産党の指導に反する内容」とされた書籍65冊が図書館の前で燃やされている写真が慶陽市政府のホームぺージ上に掲載された。この件について香港や台湾などのメディアは中国の思想教育の強化であり、「これぞ現代の焚書」などと強く批判している。

 この写真は図書館前で職員とおぼしき女性2人が書籍を燃やしているものだが、あまりの強い反応に、のちに削除されたという。

 香港紙の中立系紙「明報」によると、この図書館では10月下旬、地元政府の指導にもとづき、外部から寄贈された書籍に違法な内容や宗教関連の「偏った内容」が含まれていないかどうかを調査。そこで、この65冊がひっかかったという。

 香港紙「りんご日報」は、この調査命令のもともとの出どころは中国国家教育省(日本の文部科学省に相当)基礎教育局で、今年10月初旬、「中国の全国各地の小中学校の図書館の書籍に党の指導に反している書籍がないかどうか、厳重に調べる必要がある。そのような書籍は破棄処分にすべきだ」などとの通達が地方政府に伝達されたという。

 この通達の大きな狙いは「中国共産党の一党独裁を維持するため」だ。シンガポールの華字紙「聯合早報」によると、習近平国家主席が2019年1月、中国共産党規律審査委員会の重要会議で重要講話を発表。習氏はこの中で、新時代の中国の特色ある社会主義思想を指導理念とし、「四つの意識」(政治意識、大局意識、核心意識、一致意識)を強め、「四つの自信」(中国の特色ある社会主義の道への自信、理論への自信、制度への自信、文化への自信)を固め、「二つの擁護」(習近平総書記の党中央と全党の核心としての地位、党中央の権威と集中統一指導の断固擁護)を強調したという。

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