◆お礼参りはひっそりと……「痔の神」/國神神社(栃木)
「じかたまじない」「むけっついたち」「けつぴたし」……これらは栃木県にある「痔の神様」國神神社にまつわるキーワードだ。
「文献もなく詳細は不明ですが、数百年前、國神神社の神主が旅の僧侶に宿を提供し、そのお礼に僧侶から痔の病を治す祈祷を伝授されたのがきっかけで、『じかたまじない』が始まりました」(國神神社を管理する八雲神社の小堀真洋・宮司)
旧暦の6月1日=「むけっついたち」、つまり血がない日に、「じかたまじない」は行なわれる。ゆで卵を持ち寄り、祈祷した上で食べると痔が治ると言われるが、その所作が実にユニークだ。
「卵形のオブジェにお尻を向け、上下に動かして『けつぴたし』と3回唱え、お供えしたゆで卵を持ち帰ります。『けつぴたし』とはもともと、那珂川の水でお尻を洗い清める行為のこと。現在の所作はこれを簡素化した意味があるものです」
なぜゆで卵なのかは不明だが、昔から栄養価の高い食品として知られていたからではないか、という。
「お礼参りに来られる方も多いようですが、患部の場所が場所だけに、ひっそり見える方がほとんどのようです」(同前)