22年前の新人時代には巨人・長嶋監督から期待を込められていた(時事通信フォト)

 昨季14年ぶりに現場に復帰し、今季からヘッドコーチを務める元木大介は2005年オフに巨人から引退を促された。この時、オリックスから声が掛かっていたが、巨人一筋でユニフォームを脱ぐことを決断した。そのことも、現在の地位に繋がっているのかもしれない。

「今季から1軍の野手総合コーチになった石井琢朗のように、現役時代に巨人を経験していない人が他球団での指導実績を買われて首脳陣入りすることはあります。しかし、一度巨人に関わりながら、自ら出て行くことを選択した選手には未だに厳しい。結果的には残留したもののFA宣言で移籍の意思を示した槙原寛己、2006年の退団後にメジャー移籍をした桑田真澄は候補として名前すら挙がらない。もちろん、彼らの知名度などを考えれば、コーチになるよりも現在の活動を続けたほうが収入は遥かにいいでしょう。でも、現場から声が掛かれば出向く可能性は十分ある。上原だって、そういう気持ちだと思いますよ」

 番組で、阿部2軍監督から「春季キャンプに来てください」と話を振られても、上原は「アメリカにいるから」と濁すばかりだった。

「巨人特有のお家事情を感じ取っているから、行きづらいのではないでしょうか。ワールドシリーズで胴上げ投手にまでなった上原がコーチとして加われば、間違いなくチームのプラスになる。臨時コーチとして来るだけでも、選手に与える影響は大きい。上原は日本人唯一の日米通算100勝100セーブ100ホールドを達成しているし、こんな経験値の高い人は他にいない。それなのに、巨人は呼ぶ意向を見せない。あくまでも日本一を目指すために首脳陣を決めるべきなのに、いつまでも古い慣習にこだわっている印象です」

 昨年は5年ぶりの優勝を果たしたものの、日本シリーズではソフトバンクに4タテを喰らい、力の差を見せつけられた巨人。今オフのFA戦線では、楽天・美馬学とロッテ・鈴木大地の獲得を目指すも、失敗に終わった。大半のFA選手がジャイアンツのユニフォームに着たいと考えた時代ではなくなっている。巨人が再び“球界の盟主”として輝きを取り戻すためには、こうした古い慣習から脱却する必要があるのかもしれない。

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