着物はすべて自前。「カジュアルな綿素材はテレビでしか着ません」。

「家族に密着したVTRで、親からの手紙を娘が読んでいる姿を見れば胸が熱くなるし、いじめの問題を取り上げれば“もしもウチの子が…”と考えて怒りが湧く。どうしても親目線が先に立ってしまいますね」

 ここでひとつ、志らくにある挑戦をしてもらった。『グッとラック!』では名物企画にめくり看板を使ったお題トークがあるが、本誌女性セブンもめくり看板を用意し、「スター噺」と「新しい噺」の2種類からお題を選択してもらった。すると迷いなく前者を選び、考えること6秒。落語の一席を弁ずるようにすらすら語り出した。

「『スター』というのは超一流のことをいうんです。誰も悪口を言わない憧れの存在で、美空ひばりであり、石原裕次郎、高倉健など、そういった人。絶対になっちゃいけないのは二流。二流はバカにされ憧れの対象にはならない。だけど、落語家はスターにはなれない職種なんです。

 ならば選択できるのは一流か超二流のどちらかで、いちばん憧れるのは超二流。半分は敵だけど、半分からは支持される。“あいつは二流だよ”とこき下ろされても、一方で“こいつはすごいんだよ”ってね。立川談志がそうだった。世間には“あいつの落語はひでぇんじゃねぇの? ただ毒舌を吐いているだけのめちゃくちゃなおやじだよ”と評価しない人もいっぱいいる。けれど、“談志こそ落語がすごいんだ!”という人が同じだけいる。私も落語家としてそうありたい」

 談志が生前、「なんで志らくはスターになれねぇんだ」とこぼしていたことを知り、遅ればせながらテレビで売れて師匠を喜ばせたかったという志らく。天上の師匠はこの活躍をどう見るだろうか。

「陰では大喜びするはずです。“テレビといういいおもちゃを見つけて、あいつは遊んでいるんだよ”ってね。師匠との信頼関係で“こいつは落語で生きていく人間だから、落語を捨ててテレビタレントになるわけはない”とわかってくれているからこそ、ものすごく喜ぶと思う。かたや談志は、政治というおもちゃを見つけて遊んでいたわけで。国民にとってはとんでもない話ですが、談志は落語のために政治をやっていましたからね」

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