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私が市議選出馬を決めた47歳の一流企業社員を応援する理由

‘1968年、全国区でトップ当選した自民党新人の石原慎太郎氏(左)は35歳だった(時事通信フォト)

‘1968年、全国区でトップ当選した自民党新人の石原慎太郎氏(左)は35歳だった(時事通信フォト)

 田中さんの「ちょっと違う」感はともかく、本来は政治とはこうして参加するものなのだ。私とて自身の趣味趣向に邁進するばかり、いつの間にか消費税は10%になり、介護保険は値上がりし、非正規ばかりの社会になっていた。残念ながら、年をとっても年金を受け取るのはうんと先延ばしになるだろうし、もらえるかもあやしいだろう。そもそも政治的圧力も持たない、自分たちの年金も決められない私に、世代になっていた。

 いろいろ問題を起こす議員もいるし、極端で変な議員もいる。団塊ジュニアの政治家によるやらかしも多い。なったらなったで支持者や地域住民との付き合いも大変だし、党内の人間関係もあるだろう。それでもいままでの反省を踏まえ、政治に参加したいという同世代は、その姿勢を応援したいし、背中を押すべきだ。

 氷河期世代はどうしても経済的な苦境ばかりクローズアップされるが、解決するには政治との関わり抜きでは不可能だ。もしこれから人数が多い世代の少なくない人たちが貧困層として固定され、支えあえる家族も持たずにそのまま年老いたら、安定した社会を脅かす大きな要因となり得る。危険を回避するために、政治の力は不可欠だ。困難だと分かっている問題が迫るなか、まっとうな政治行動を志す人は素晴らしいし、ともに行動したいと思わせる。いまからでも遅くはないし、遅かろうとも何もしないよりずっとよい。

 田中さんには、ともかく日本をどうにかしたいという純粋な気持ちがある。党の下働きをいとわず、雑巾がけできるくらいの行動力と心意気があるのだから、このご時世、爽やかなルックスも相まって、どこかの市議会選挙なら当選するだろう。市町村合併と定数削減が遅れているおかげで、有権者数と立候補者数のバランスが悪くなっているいまがチャンスだ。

「俺たちはいずれ多数派になる。その時こそチャンスだ」

 いずれ私たち団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアは下の世代に対して圧倒的な「数の優位」を達成する、これが田中さんのいう「多数派」なのだろう。氷河期世代にとって、最後の頼みの綱とも言える。多数派の意見を中心に動く民主主義が続く限り、団塊ジュニア・ポスト団塊ジュニアが有するであろう圧倒的な武器だ。これにより、私たちの世代に有利な政策も社会保障も通りやすくなるだろう。しかしこの考え方は、数による威圧を肯定しているとも言えるので、いずれ老害と呼ばれるかもしれないが――。実際、すでに「根性論・昭和脳の団塊ジュニア」だの「俺たちは氷河期で苦労したのにお前らは…」的な上司、先輩がうざいという、そんな記事もちらほら見かけるようになった。

 多数派であるチャンスを訴える田中さんは、これまで「世代による連帯」がまったくなかったことが失敗だったとして、それも伝えたいと言う。社会の変化は与えられるのではなく世代で掴み取るのだと。自分の個人的な興味の世界ばかりに生きてきた私には耳の痛い話だ。政治とは「あなたを幸せにしたい」ということだということは、同じく団塊ジュニアでもあるれいわ新選組の山本太郎氏が実践し、教えてくれている。是非はともあれ、意義ある行動だ。

 田中さんのように政治を国政であれ、地方自治であれ実際に行動してくれるのは頼もしい。私は心臓疾患を抱えているので政治の激務には耐えられないだろうし、みな40代も過ぎれば徐々に傷病的、体力的な面でも脱落する。金銭的、家庭的な面で難しい人も多いだろう。ほとんどの人は現実にそうだ。しかし、実際の政治の場に代弁者のいない層はないがしろにされる、という現実を身にしみてわかっている。脱落者はなおさらだ。田中さんに限らず、政治を志し行動する人を世代として応援したいと思う。世代の連帯に失敗した私たちの反省と、この先の再構築のために。(文中一部敬称略)

●ひの・ひゃくそう/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。ゲーム誌やアニメ誌のライター、編集人を経てフリーランス。2018年9月、評論「『砲車』は戦争を賛美したか 長谷川素逝と戦争俳句」で日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞を受賞。2019年7月『ドキュメント しくじり世代』(第三書館)でノンフィクション作家としてデビュー。12月『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)を上梓。

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