◆「甘い客」「ゆるキャラ」
生命保険業界では、昨年6月以降、かんぽ生命での不適切な生命保険販売が発覚。一部の郵便局員が、高齢で契約を結びやすい顧客を「半ぼけ」「甘い客」「ゆるキャラ」などと呼んでいたケースもあったと報じられた。生命保険の営業を経験した元銀行員はこう言う。
「個人宅に飛び込み営業する場合、ほとんどは玄関先で断わられる。しかし、営業マンに同情して話を聞いてくれる人がいたら、契約をとれる貴重な顧客である可能性が高い。そういう人のことは『お友達』と呼んで、その日に契約をとろうとはせず、何度か家に通って契約をとります。とくに独り暮らしの高齢者は、定期的に通ううちに“あなたがそこまで言うのなら”と判を押してくれやすい傾向にある」
子供や孫を巻き込むケースもある。ある学習塾の関係者が明かす。
「大して成績がよくないお子さんでも、両親や祖父母が教育熱心な家庭は、より多くの授業や試験を受けてくれるので『VIP家族』と呼んでいる。成績を伸ばすよりも“不満を持たれて塾を辞めないように注意”とミーティングで話し合っている」
客を「隠語」で呼ぶ職員の低いモラルは許されるものではないが、自分がどう呼ばれているかは気になって仕方ない?
※週刊ポスト2020年1月31日号