そんな彼らの活動で見逃せないのは、昨年7月に開設したYouTubeチャンネル「しもふりチューブ」。これだけ売れっ子であるにも関わらず、漫才からトーク、モノマネ、ゲーム、クイズまで毎日18時に動画をアップし、すでに約51万人ものチャンネル登録者数を獲得しています。

 つまり、霜降り明星はテレビ中心の生活を送る人々だけでなく、ネット中心の生活を送る人々にもアプローチできているということ。だからこそ二人は、「テレビ視聴者をネットに、ネット視聴者をテレビに橋渡しできる稀有な存在として、芸能界のキーパーソンになっていくのではないか」と見られているのです。

 今冬、二人はテレビドラマに出演していますが、近い将来にはネット配信ドラマにも出演するでしょう。もちろんテレビバラエティとネット配信バラエティもしかりで、さらにYouTubeでは自ら発信するなど、テレビとネット両面での縦横無尽な活躍が期待されています。

 これまでのようなテレビ一辺倒の芸人ではなく、かといって近年増えつつあるネットが主戦場の芸人でもない。霜降り明星は、テレビとネットの両方に冠番組を持つような令和時代を象徴する存在になるのではないでしょうか。

 昨年から多くのバラエティが、ミキ、EXIT、ハナコ、四千頭身、宮下草薙らの若手芸人を総称した「お笑い第7世代」というフレーズを多用していますが、霜降り明星はすでにこの枠から抜け出していると言っていいでしょう。

 実際、せいやさんは昨年末のラジオ番組で「第7世代はミルクボーイさんがM-1を獲ったことで終わりました。もう元の世界に戻ります」「第7世代がビジネスになっている」とコメントしていました。当然ノリや笑いを絡めた意味合いはあるでしょうが、他の若手芸人とは一線を画す活動を見れば、「第7世代ではなく霜降り明星として評価してほしい」という本音も見えてきます。

 もともと彼らは、学生時代からアマチュアの芸人としてネタを披露していた笑いへの情熱とキャリアの持ち主。その意味で今冬の俳優業も、あくまで笑いのために挑んでいる気がしてならないのです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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