さすがの私も講談の世界はそれ程知っている訳ではないが、松之丞が書いたり喋ったりしているのを読むと伯山代々は相当凄いらしい。初代は江戸講釈界に覇をとなえたとあり(広辞苑)十八番が「徳川天一坊」。川柳にも「伯山は天一坊で土蔵を建て」。弟子も80人いてとにかく売れた。三代目がとりわけ光っていて、人呼んで「次郎長伯山」。伯山が寄席のトリをとるとまわりは閑古鳥。俗にいう「八丁荒らし」。四代五代、さまざまあって六代目の誕生である。
2月9日には披露目のパーティー。扇子、手ぬぐいと共にあいさつ状も刷られ、そこには私、太田光、ジブリの鈴木敏夫そして師匠の人間国宝神田松鯉の推せん文が並ぶ。2月11日から10日間ずつ都内の各寄席で披露興行。新宿末広亭でスタートし、連日所属する落語芸術協会の昇太、小遊三、米助ら幹部も出演する他に、日替りのゲストとして鶴瓶、志らく、爆笑問題。私も17日に松村邦洋と“ものまね漫才風”の御祝儀高座を相勤めまする。いよいよ羽ばたく若武者を目撃して下さい。
※週刊ポスト2020年2月21日号