●旧大社駅(廃線 JR西日本・旧大社線)
神々の国と称される島根県・出雲の地には、出雲大社や神話を身近に感じる駅が多く存在する。古くから信仰を集めてきた出雲大社の表玄関には、参拝客のために造られた駅舎が往年の面影を今に伝えている。出雲大社から約1km、徒歩約10分の距離にある現役駅の一畑電車・出雲大社前駅は、昭和5(1930)年に開通した大社線(8.3km)の終着駅。かつて活躍した「デハニ50形電車」も展示する。同駅から徒歩約13分のJR西日本・旧大社駅の豪壮な和風建築も注目。宍道駅を起点とし、各駅に神話由来の愛称が付けられている木次線(16駅、81.9km)を巡るのも楽しい。
前出の旧大社駅は、明治45(1912)年に開業し、大正13(1924)年に改築された木造平屋建て駅舎。外観は純日本風だが、内部は灯籠型の和風シャンデリアが計30個設けられ、和洋折衷の趣も感じられる。動輪をデザインした鬼瓦も面白い。1990年に廃線、2004年に国の重要文化財に指定された。無料で見学できる。
●出雲横田駅(JR西日本・木次線)
木次線からは、出雲横田駅を紹介しよう。雲州そろばんの産地・奥出雲町にある昭和9(1934)年開業の駅だ。神社を模した造りで、「宮造り駅舎の最高峰」と言われる。玄関には出雲大社風の太いしめ縄がかけられており、校倉(あぜくら)造りの壁面も見事だ。駅舎はヤマタノオロチ退治の舞台となった奥出雲町にあるスサノオノミコトの妻・クシナダヒメ(奇稲田姫)を祀る稲田神社にちなんだものとされ、同駅は愛称「奇稲田姫」で親しまれている