国内

新型コロナ「37.5℃基準」に高齢者医療の専門家が懸念表明

多くの高齢者施設では入念な感染対策をしている(時事通信フォト)

多くの高齢者施設ではマスクや手洗いの徹底など入念な感染対策をしている(時事通信フォト)

 2月22日、東京都の介護老人保健施設で送迎車の運転を担当する60代の男性介護職員が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになった。これを受け、厚生労働省は翌々日の24日、各都道府県や指定都市、中核市の民生主管部に向けに文書で注意を呼びかけた。しかし、その内容について介護現場に詳しい専門家や医療関係者から疑問の声があがっている。介護ジャーナリスト・末並俊司氏がレポートする。

 * * *
 厚労省が関係各所に事務連絡として通知した〈社会福祉施設等(入所施設・居住系サービスに限る。)における感染拡大防止のための留意点について〉と題する文章には、介護施設などの職員、利用者への対応として留意すべき事項が具体的に記されている。

 遅きに失した感はあるが、老人ホームなどの施設に入居する高齢者は感染症が重篤化するリスクが大きい。混乱する現場に対して予防対策の方向性を示した点は評価したい。ただし、現場をよく知る複数の専門家からは、厚労省の通知した文書の内容を疑問視する声があがっている──。

「あの文章は逆に危険ですね」と話すのは介護現場の実態に詳しい本間郁子氏だ。介護施設のサービスの質を保障する認証機関『Uビジョン研究所』の理事長として、多くの施設を見てきた本間氏が「危険」と指摘するのは高齢者の発熱に関する以下の記述だ。

〈高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)を抱える者又は妊婦については、37.5℃以上又は呼吸器症状が2日以上続いた場合には、保健所等に設置されている「帰国者・非接触者相談センター」に電話連絡し、指示を受けること〉

 本間氏が疑問を抱くのは、「37.5℃以上」という数値が示されている点だ。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン