五輪後に4000戸超の分譲マンションが誕生する晴海の選手村だが…(時事通信フォト)

五輪後に4000戸超の分譲マンションが誕生する晴海の選手村だが…(時事通信フォト)

 2019年の10月、台風19号の被害で神奈川県川崎市の武蔵小杉に立地したあるタワマンが水害の被害を受けた。建物への損害は軽微であったが、電気室が冠水したことでエレベーターと上下水道が使用不能になった。

 一時的にせよ建物内の縦の移動が階段だけになったことも大きかったが、そこを居住不能にした大きな理由は、トイレが流せなくなったことである。そういった被害を巡る各メディアの連日の報道やその反応の中で、「やっぱりタワマンなんかに住むべきではない」という考えを持つ人が、少なからず存在していることが分かってしまった。

 五輪の競技会場が多く建設された湾岸エリアの住居形態も、タワマンが圧倒的に多い。あの武蔵小杉タワマンの台風被害をきっかけとして、住み替えを考えている層も多いだろう。また、エリアへの愛着が薄いと思われる外国人も、値上がりが期待できなくなったタワマンの売却には躊躇しないはずだ。

 仮に五輪が開催されなくなったら、その直後から。予定通り開催されても閉幕後に湾岸エリアのタワマン売り出し物件がかなり増えると予測できる。

 もうひとつ付け加えよう。五輪選手村跡地には4000戸超の規模で分譲マンションが誕生する。その販売は2019年から始まった。仮に五輪が「1年延期」になったら、引き渡し予定である「2023年3月」はどうなるのであろうか? こちらも1年延びるのか? そうなれば、購入者の人生の予定が1年狂うことになる。ここにも甚大な影響がありそうだ。

 仮に五輪が中止となれば、予定通りに引き渡すことは可能だろう。しかし「選手村に使われなかったマンション」という、あまりすっきりしない物件となる。そのあたりも含めて、この先の動向が懸念される。

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