国内

初の刑事事件で露呈した「ふるさと納税」の闇と地方の苦境

過熱する高額な返礼品競争が問題視されてきた「ふるさと納税」(写真はイメージ)

過熱する高額な返礼品競争が問題視されてきた「ふるさと納税」(写真はイメージ)

 コロナ関連ニュースが溢れる中、ふるさと納税をめぐる不正事件が摘発された。舞台は高知県の奈半利町(なはりちょう)。ふるさと納税を担当する地方創生課の課長(45)と課長補佐(41)、そして返礼品を扱う業者(30)の3人が逮捕された事件である。その背景を追うと、ふるさと納税をめぐる闇と地方自治体の苦境が浮かんでくる──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

 * * *
 事件の舞台となった高知県奈半利町は、高知県東部の室戸市に隣接する人口3000人余り、太平洋と四国山地に挟まれた面積28平方キロメートルの小さな町である。

 主産業は漁業、造船業などで特産品は金目鯛と無花果(いちじく)。紀貫之の「土佐日記」には「十日、けふはこの那波の泊にとまりぬ」との記述がある。町の北を通る野根山街道は中岡慎太郎らの脱藩の道として知られる。歴史の街でもある。

 とはいえ、つい数年前までは、全国的にはほとんど無名だった。それが「ふるさと納税」で一気に注目を集めた。2017(平成29)年度のふるさと納税額が39億円に達し、全国9位となったからだ。地元紙は「ふるさと納税、高知県奈半利町が39億円で全国9位」(2018年7月)と報じ、小さな町の快挙は全国的な注目を集めたものだ。

 それから1年半ちょっと。今度は逆の意味で話題となった。町の財政を支えてきたふるさと納税を巡る不正が摘発されたのだ。

 逮捕された役場職員2人と返礼品業者の直接の逮捕容疑は「電磁的公正証書原本不実記録・同供用」。ふるさと納税を担当する地方創生課長が、息子名義の口座を介して返礼品業者から百数十万円を受け取っていたなどの容疑が判明。その際、息子が奈半利町から安芸市に転居したとする虚偽の異動届を提出していた。税務調査で発覚しないよう住民登録を移したのではないかとみられている。

 これが事件の入り口の容疑だが、本丸はずばり贈収賄だ。高知県警は、最初の逮捕から10日後の3月13日、3人を受託収賄容疑と贈賄容疑で再逮捕した。ついに汚職事件に発展した。

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン