しかし1番手にあげた馬を軸に、2番手以下の推奨馬に流して的中した時の払戻額は、最高でも1100円程度。ほとんどが三桁配当でこの買い方では当然赤字。推奨馬がワンツーになったのは26回あるが、人気馬同士が中心になっており、推奨馬すべての馬連ボックス買いなどでは、やはり赤字。あげた馬すべてが3着以内に入ったのは8回あり、うち2回は3連単で4万円以上ついていたが、毎度毎度あげられた馬すべての3連単ボックスなど買い続けられるはずもないし、買ったとしても当然大赤字だ。
つまり漫然と「推奨馬」を参考に買っていても、儲かりはしない。そこで人気薄の「推奨馬」について集計してみると、これはなかなか厳しい。人気薄を1番手に指名することは稀で、6番人気以下は、だいたい3,4番手に名前をあげる。
6番人気以下の「推奨馬」が勝ったのは5回、2,3着に入ったのが3回。21日阪神2レースを9番人気で勝ったバルボア(単勝2380円)を、3番手に推奨していたのは見事だが目立つのはそれくらい。
ある解説者は10番人気馬を1番手に指名したが、結果は最下位。さらに別のレースでも12番人気を1番手に指名したが、これも人気通りの12着。解説者が人気薄を1番手にしていると、ついつい買ってみようかなと思ってしまう。実際当初70倍ぐらいあった単勝オッズは最終的に50倍になっていた。
この2頭はいずれもこの記者が紙面で◎を打った馬。中継では「元気はあるが、もうちょっと踏み込みの強さがあれば」と控えめ。つまり、“パドックからの推奨”ではなく、日々の調教などから判断しての1番手。パドックを見て、「紙面での私の◎、パドックを見たら全然ダメでした」と言えないのは当然だ。
厳しい評価を覆す結果も多い。「見るからに太い」「歩様の硬さが気になる」「落ち着きがない」「前走はもっと活気があった」。さらには、強い口調で「絞れたけどまだまだ中身がない」と強い口調で酷評されたり、「厳しいでしょうね」と鼻で笑われるように言われた馬が好走した例は少なくない。好走した馬の関係者が解説を聞いていたら、文句の一つも言いたくなるだろう。
しかし一方で、人気薄でも高評価の馬がいる。たとえば、20日中山のフラワーカップを12番人気で勝ったアブレイズのパドックでの評価は「少しうるさい面はあるがトモが立派で力強さを感じさせる。好気配」というものだった。推奨馬には入れていなかったが、そそられる言い方ではないか。他にも人気薄なのに、「力を出せる状態」「増減なしだが体が締まってきた」「久々だけど落ち着いて周回できている」というような評価の馬が穴をあけているケースはあった。
紙面では無印だし、「推奨馬」にも入っていないけれど何気なく高評価、これがまさしく「パドックでの特注馬」だ。パドックではその馬の能力まではわからないはずだが、プロの目から見て「走ってもおかしくない」状態にあるのは確かなのだろう。もちろん3日間だけの集計だけで決めつけることはできないし、解説者の能力やキャラクターにもよる。しかし、自分が狙った人気薄の馬の評価には耳を傾けておきたい。