《──休校要請については、エビデンスに欠けている政策だと批判も強いですし、私も経済への悪影響が出ることも含めて、やる必要はなかったという立場です。百田さんはどこを評価しているのでしょうか。
百田:学校の休校要請っていうのは、やっぱり、相当なもんやと思っています。ほかの政治家ではビビッてできないんじゃないでしょうか。エビデンスがあるかという批判ですが、そもそも未知の感染症に対してエビデンスなんかないですよ。総理がリーダーシップをとって、果敢に休校をとりあえずやってみて、感染を防ぐという成果が出たらいいじゃないですか。
──評価はリーダーシップにあるということですか?
百田:そうです。こういうことに関してはやっぱり、果敢にやらないといけないでしょう。官僚っていうのは自分から決めませんからね、絶対に。》(週刊ポスト2020年4月3日号)
大手メディアの世論調査を見てみよう。例えば朝日新聞の世論調査で2月は停滞していた安倍政権の支持率は3月に入り上昇に転じた。支持率は39%から41%になり、不支持は40%から38%に減った。一社だけなら誤差の範囲だが、各社の傾向は概ね一致している。数字が示唆しているのは、安倍政権はまた危機を脱しつつあるという事実だ。
それがなぜ起きるのか。私も含めて安倍政権に批判的なスタンスを取る人々は、3月はもっと支持率が下がると思っていたはずだ。その予兆はいくつもあった。桜を見る会、新型コロナウイルスの対応で後手後手に回り、ついに全国一斉休校の要請に踏み切った。
なぜ子供を対象にするのか? 小児の発症、重症化という事例が少ないことはわかっていた。なぜ全国一斉なのか。特段の根拠はなく、〈「科学よりも政治」という、またしても悪い前例となってしまいました〉(神戸大学・岩田健太郎教授 2020年2月29日毎日新聞ウェブ版インタビューより)などと専門家から批判の声があがった。
安倍首相の会見でもエビデンスは示されず、社会活動へのダメージが大きいと批判の声が強まったように見えた。中国と韓国の入国制限にも踏み切ったが、右派の歓喜はともかくとして、遅きに失したという声が多数であるかのように見えた。