渡辺医院の院長で東京大学医学部非常勤講師の渡辺俊之氏は「ベッドを確保できたとしても、その病院の医療体制が新型コロナ患者の対応に追いついているとは限らない」と指摘する。
「たとえば、古い精神科病棟では、新型コロナ患者の治療に必要な酸素吸引のためのパイプや電源がない場合も考えられます。人工呼吸器があっても、それを扱える医師はほとんどいない。実際に新型コロナ患者を受け入れた病院では、『いま軽症だとしても、重症化したときにどう対応すればいいのか。どう扱うべきかさえわからないのに患者を引き受けるのはすごく怖い』などと本音を漏らしている医師もいるようです」
◆医師も判断に迷う
院内感染の予防の観点から、「新規入院患者の受け入れ停止」を実施している病院も少なくない。
医療スタッフ17人の新型コロナ感染が発覚した新小文字病院(北九州市門司区)は4月1日、当面の間、新規入院を受け入れないと発表した。職員や患者に陽性患者が発覚した場合でなくとも、今後は“予防的措置”として新規入院を絞る病院が増え、別の病気で入院を必要とする患者が断わられるケースも考えられる。
もっとも、こうした判断をくだす医療従事者も、良心の呵責に苛まれているようだ。関東地方の総合病院関係者が打ち明ける。