ライフ

謎に包まれた「ブッダの教団」 どんな一日を過ごしていたか

ブッダの教えを記した仏典を紐解くと…(ゲッティイメージズ)

 のちの仏教の開祖であるブッダ(釈迦)が立ち上げた教団は、古代インド社会では異端の存在だった。しかし、その実態は謎に包まれている。作家で仏教研究家の平野純氏が、古い仏典の記述をもとに、仏教の本質ともかかわる「ブッダの教団」の秘密に迫る。

 * * *
 ブッダは2500年前のインドに生まれた異端の宗教家でした。当然ながら、かれの宗教は主流であるヒンドゥー教からみて「異質」と感じる要素をたくさんもっていた。

 もし、ここで、「異質さ」をヒンドゥー教徒に感じさせた最大のものをさがすならば、「教団」がそれかもしれません。

 ブッダの創設した「教団」は当時、インドの言葉で集団をさす「サンガ」の名で呼ばれ、のちに中国で「僧」と訳されて、お坊さんを意味する語になりました。

 たとえ少しくらい毛色が変わっていても、バラバラでいるあいだは何とも思われなかった人間も、いったん集団を組めば社会の保守派にとっては脅威をおぼえる存在になる。このことに今も昔も変わりはありません。

 ただ、このブッダの「サンガ」、存在の大きさのわりに実態がはっきりしません。たとえば、その人数です。

 仏教はブッダが「ゼロ」からたちあげた宗教です。誕生直後のサンガがごく小人数の所帯であったことは明らかですが、では、かれが生涯を終えた80歳の段階でどれほどの人数に達していたのか、じつはわかっていません。

 仏典は例によって何千、何万という数字を伝えますが、参考にはなりません。現在のところ、せいぜい数百人だったという推測がなりたつだけですが、ただ、ブッダの晩年にはそれなりの規模の教団に成長していたと思われる根拠がひとつあります。それは、「精舎(しょうじゃ)」の存在です。インドの言葉の「ヴィハーラ」を中国人が訳したものですが、出家者専用の宿泊施設です。これがブッダの生前に各地に出来上がった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン