芸能

一之輔と天どん 季節の風物盛り込んだ江戸が舞台の新作落語

一之輔と天どんのCDの聞き所を解説

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、春風亭一之輔と三遊亭天どんによる2枚組CD「新作江戸噺十二ヶ月」についてお届けする。

 * * *
 春風亭一之輔と三遊亭天どんによる「新作江戸噺十二ヶ月」の2枚組CDが発売された。

 三遊亭圓生の『江戸の夢』(宇野信夫作)や『水神』(菊田一夫作)など、古典の時代背景で書かれた新作落語が幾つかある。近年では夢枕獏が柳家喬太郎に『鬼背参り』を書いた。立川吉笑は自ら「擬古典」と称する作品を創作している。

 一之輔と天どんの二人が、江戸を舞台に、当時実際にあった季節の風物を盛り込んで、1月から12月までの各月の新作落語を計12席作る、というのが「新作江戸噺十二ヶ月」。放送作家・松田健次氏の企画で、一之輔と天どんは2015年から2017年に掛けて座・高円寺2での二人会「一之輔・天どん ふたりがかりの会 新作江戸噺十二ヶ月(笑)」でそれらを初演。さらに磨きを掛けて2018年から2019年に再演した。

 今回の商品はその再演から4席をセレクトしたもので、「一之輔ディスク」には『長屋の雪見』『手習い権助』、「天どんディスク」には『鮎かつぎ』『消えずの行灯』が収録されている。

『長屋の雪見』は12月の噺。『長屋の花見』は大家の発案だが、こちらは妻に先立たれた大家を元気づけようと長屋の連中が雪見を企画する。もちろん本式の優雅な遊びとは似ても似つかぬ貧乏雪見。綿入れを着る代わりに猫を懐に入れ、屋根船の代わりにイカダで山谷堀まで川を下り、待乳山の雪中行軍で元旦を迎える。落語ファンがニヤリとする小ネタ満載、果ては『南極物語』まで飛び出す爆笑ドタバタ劇だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン