国内

「闇営業」と自嘲しながら働くしかない飲食店の苦しい事情

東京都の要請を考慮し午後8時で閉店した居酒屋(時事通信フォト)

東京都の要請を考慮し午後8時で閉店した居酒屋(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、業態を指定して休業要請をする自治体が増えている。20を超える都道府県が休業要請を決定しているが、休む事業者への支援は自治体ごとにバラバラで、補償をするような財政状況にないと首長が漏らす自治体もある。そして、もっとも潤沢と言われる東京都の「感染拡大防止協力金」ですら店舗の家賃にも満たないため、協力せずに営業を続けた方がマシという声も聞こえてくる。ライターの森鷹久氏が、看板を出さずにひっそり店を開け続け「闇営業」と自嘲する飲食店経営者の声をレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の各自治体が商業施設への休業、店舗への休業要請が続く中、経営者らからはすでに悲鳴が上がっている。

 大阪市内でレストランを経営する浜田智子さん(仮名・30代)は、政府の緊急事態宣言前から営業時間の短縮を行なっていたが、4月14日から休業。松井一郎・大阪市長は4月16日、休業要請に協力した事業者に対し、個人事業主には50万円、中小企業には100万円の給付、そして飲食店にも協力金が必要との見解を示した。しかし……。

「補償金や給付金が出る出ないと言った話が、もう一ヶ月近く続いています。ここにきてやっと”出す”そうですが、実際にどんな手続きを踏んで、どういった書類を出して、具体的にいつ出るのかわからない。仮に5月に50万円が給付されたとしても、家賃分にもならない」(浜田さん)

 浜田さんは、店舗の責任者、近くの飲食店経営者らと相談の上で、店の営業再開を決定。ランチタイムの3時間、夜間の3時間と従来の営業時間よりは限定的なものだったが、通知を店のHPに出した所、すぐに電話やメールが殺到した。

「近くの住人と思われる人達から、コロナをばらまくのか、自分さえ良ければいいのか、といった、営業再開に反対をする意見が寄せられました。脅迫めいたメールもあり、これでは、コロナ騒動が落ち着いたとしても、安心して営業ができない気がしています」(浜田さん)

 千葉県内の居酒屋店主・内海圭介さん(仮名・40代)の訴えも悲痛だ。

「3月上旬から売り上げは前年の半分程度。国の緊急事態宣言、県からの営業形態の自粛要請が出てからは、来客が1日数人ということもあります。補償金が出るらしい、という話しかなく、具体的にいくらいつ出るのか、その条件にうちの店が該当しているのかもよくわかりません。補償なき自粛要請は飲めない」(内海さん)

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン