スポーツ

相撲協会「本場所開催へ強行姿勢」の裏にあるソロバン勘定

無観客で開催された大阪場所(時事通信フォト)

 高田川部屋での新型コロナ感染が明らかになった現在も、日本相撲協会は夏場所(5月24日初日)の開催を強行する構えだが、その背景には協会や各部屋の懐事情がある。

 4月27日朝、夏場所の番付発表が行なわれた。本来なら、各部屋の若い衆が国技館に出向いて新しい番付表を直接受け取るのが慣例だが、今場所は「密」を避けるために印刷所から各部屋に直接配送された。さらに各部屋から後援者らへの配布にあたっても「感染防止のため、郵送で対応するように」と通達された。これに頭を抱えているのが親方や関取たちだ。

「新しい番付表は相撲部屋にとって“カネのなる木”。部屋の有力なタニマチ(後援者)に番付発表日に親方が出向いて手渡す。新十両や新入幕、新三役を出した部屋は、その関取を連れて挨拶に行く。そうするとタニマチが祝儀をはずんでくれる」(ある部屋の呼び出し)

 祝儀に化けるアイテムを取り上げられ、「部屋の経営を左右しかねない」と危機感を募らせる親方も少なくない。無観客開催となった春場所(大阪場所)は、相撲協会の指導もあって大半の部屋で場所前の激励会や千秋楽の打ち上げパーティを中止。地方場所では稽古見学に来る後援者にチャンコを振る舞うが、これも自粛となった。

「地方場所で集金できなかったのは痛い。東京場所(1月、5月、9月)では打ち上げパーティだけのことが多いが、地方場所では場所前と千秋楽の2回開かれるのが一般的。タニマチも年に一度のお祭り気分だから、数万円の会費で300人ぐらい集まる。会員の紹介で稽古見学もできるが、祝儀や差し入れを持たずに来る人はいない。関取も宴席が多く、その付け人も“お小遣い”をもらえる」(中堅親方)

 春場所での新大関への昇進を決めた朝乃山(26)が所属する高砂部屋と、優勝した白鵬(35)がいる宮城野部屋では千秋楽後に打ち上げを強行開催したものの、立食式ではなく着席式のパーティで集客は普段の約3分の1。他の大半の部屋はカネ集めができず、「大赤字になった」(同前)という嘆き声が聞こえてくる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン