──藤井さんは、誰かの発言や行動を強く批判しても、人格否定はしない。発言の際、何か気を付けていることやポリシーはありますか?
藤井:怒っていても論理的な議論はできます。あと、できるだけわかりやすく話すことを心がけています。私がしたいのは相手を傷つけることでなく、相手やその周りの人たちに私のメッセージを受け取って欲しいからです。一方で、やはり感情は大切だと思っています。人を動かすのは強い感情であり熱量です。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの国連スピーチがあれほど世界を動かしたのは、彼女の強い怒りがあったからではないでしょうか。
◆日本は平等な社会なのか?
──コンプレックスのあった外見について、アメリカに行ったら全く言われなくなったと、前回仰っていました(【前編】参照ください)。日本ではルッキズムや性差別が根強いと感じますか?
藤井:私が暮らすLAは、とりわけポリティカル・コレクトネスに敏感であったり、新しい価値観が浸透している場所だと思うので、アメリカといっても地域によって全然違うと思うんです。ただやはり、アメリカは多様性の国ですから、日本に比べて、都市部では人々の意識に大きな違いを感じます。
たとえばアメリカには「ホワイト・プリヴィレッジ(White privilege)」という言葉があります。かなり複雑な言葉で説明が難しいのですが、白人は生まれながらに優遇されているといった意味の言葉です。白人でかつ異性愛者に生まれたら、生まれながらにして社会的に力のあるグループに属し、そのおかげであらゆることで優遇され、一方でその影には、それらの優遇を受けることのないマイノリティがいます。それにも気づくことがないと、マイノリティを傷つける意のない差別をしてしまうことにもつながります。